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2023.2.2
多くの建築物に普及し、無垢材と並んでスタンダードになっている集成材は、用途によって種類が分かれています。用途によって求められる強度や意匠性が異なり、また、樹種によって価格もさまざまです。
この記事では、集成材の特徴や分類の規格、DIYで使う場合の選び方などを紹介します。同じ木材でも、丸太からそのまま切り出した無垢材とは性質が異なる集成材。ぜひ最後までお読みいただければと思います。
目次
「集成材」とは、ひき板や小角材などのラミナを繊維平行方向にそろえ、厚さ・幅・長さの方向に接着した木質材料のことです。無垢材の欠点をカバーし、天然素材でありながら工業製品のような統一された品質が期待できます。
同時に、木材本来のあたたかみや手触りのよさ、心地いい香り、調湿効果などをそのまま活かせる優れた材料になります。本章では集成材の主なメリットを4つ紹介します。
JAS規格を満たした集成材のラミナは含水率15%以下であり、そのことで、割れ・反り・ねじれなどの狂いを抑えています。
木材は元々多くの水分を含んでおり、乾燥の過程で収縮する性質があります。乾燥が十分でない木材を使用すると、後々狂いが生じて強度の低下にもつながりかねません。そのため木材の狂いを防止するには十分な乾燥が必要なのです。
JAS材について詳しく知りたい方はこちら
▷JAS材とは?|補助金を含むメリットや活用事例を解説
無垢材は、節や割れなどの局所的な欠点が生じてしまうこともあり、また個体によって強度にバラツキが生じます。その点集成材は、節などの欠点をもつラミナを分散して配置できるため強度のばらつきが少ないのがメリットです。
過去には、集成材の耐久性が接着剤に左右されることもあったようです。現在は接着技術が進歩したことに加え、十分にラミナを乾燥できるおかげで腐敗しにくく耐久性は向上しました。
集成材は、幅・長さ・厚み方向に自由に接着を施せるので、無垢材では難しい大きいサイズの材を作れます。また、大きさ以外に形の自由度も高く、湾曲や先細りの材を得られるのも集成材の特徴です。さまざまな大きさ・形状の集成材は、建築の規模やデザインの幅を広げてくれるのです。
集成材は、用途の違いで「造作用」と「構造用」に大別されます。造作用は建物内部の造作や家具に、構造用は主に建物の骨組みに使われ、それぞれ求められる性能が異なります。
日本農林規格(JAS)では、「造作用」と「構造用」の集成材はさらに、それぞれ2つに分けられて以下の4種類に分類されます。
「化粧貼り造作用集成材」は「造作用集成材」の表面に、「化粧貼り構造用集成柱」は「構造用集成材」の表面に、意匠性を向上させるために薄板を貼ったものです。本章では造作用集成材と構造用集成材の特徴や用途を解説します。
造作用集成材は、化粧材として使われるため基本的に材料強度は求められません。一方、見た目の美しさが求められ、狂いや・割れ・化粧板の剥がれが起こらないことに重点が置かれます。
造作用集成材は木の素地をそのまま活かして、階段・壁面・カウンター・床などに用いられ、化粧貼り造作用集成材は長押、敷居、鴨居など和室の内装造作に使われることが多いです。
構造用集成材は、用途や使用環境などの条件によって一定の材料強度を求められる点が、造作用集成材とは大きく異なります。
構造用集成材は、木造建築の柱、梁、桁などが主な用途です。JAS規格では、断面積の大きさによってさらに大断面・中段面・小断面に分けられ用途も異なります。体育館や学校などの大きな建物には大断面、一般住宅には小・中断面の集成材を用います。
化粧貼り構造用集成柱は構造用集成材の表面に化粧板を施した柱で、主に在来軸組工法住宅などに使われます。
ホームセンターで販売されている集成材は、ほとんどが造作用です。無垢材に比べて扱いやすい集成材は、DIYの材料として初心者にもおすすめです。ただ、種類が多いとどれを選んでいいのか迷う人もいるでしょう。DIY用の集成材を選ぶ目安を紹介するので、参考にしてください。
家具や室内の造作に使われる集成材の、用途別の標準的な厚みの目安は以下の通りです。
厚い板は、強度が高く見た目の重厚感もありますが、価格は高くなりがちです。薄い板は、見た目が軽快で価格は安くなりますが、強度は劣ります。載せるものの重さ、見た目の好み、価格などを総合的に考えて選びましょう。
参考:材木商店
木製品は、使う材の木目や樹種によって仕上がりの雰囲気や与える印象が変わってきます。タモやナラ、スギなど木目のはっきりした樹種は、木としての存在感があり、ゴムやバーチ、ヒノキなど木目の優しい樹種は、穏やかな印象で空間にもなじみやすいでしょう。
樹種選びのもう一つの観点は加工のしやすさです。一般的に針葉樹は柔らかく、広葉樹は堅い傾向があります。DIY初心者は、加工しやすい針葉樹から試すのがおすすめです。
木材の価格は容積によって変わりますが、樹種による価格差も大きいものです。安価な樹種としてはゴムやパイン、高価な樹種としてはウォールナットやチークが挙げられます。タモやナラ、スギ、ヒノキなどは中間の価格帯です。
集成材の種類は造作用と構造用に大別され、用途や求められる性能が異なりますが、品質が不安定な無垢材の欠点をカバーしている点は共通しています。木造建築の規模やデザインの広がりに、集成材の進化が貢献していることは間違いありません。また、均一な品質と木本来の良さを両立する集成材は、DIY初心者にぴったりの材料でもあります。
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