森林・木材のお得情報
この記事をシェアする
2023.4.14
四季のある日本で快適に暮らすためには、外気の温度の影響を受けないよう住宅の断熱対策をする必要があります。
そんな時に活躍するのが断熱材である「ロックウール」です。
本記事では、
などを紹介します。
現在ではDIYでも使用され活用しやすい断熱材について知り、快適な生活を送りましょう。
目次
ロックウールとは、鉄を生産する際の副産物「高炉スラグ」や天然岩石である「玄武岩」などを高温で溶解し生成される人工鉱物繊維です。
1,500〜1,600℃の高温で熱し、強い遠心力で吹き飛ばすことで繊維状にしています。身近なものに例えると、綿あめの製法と同じ原理です。
ロックウールは広域認定制度によって環境省からの認可を受けた業者がリサイクルを行います。広域認定制度とは、環境大臣の認定を受けたメーカーが自社製品の廃棄物を回収しリサイクルや適正な処理を行う制度のことです。再利用可能なロックウールは、環境にやさしいサステナブルな素材であるといえます。
どちらも高い断熱性能を誇る断熱材ですが、素材や特徴に違いがあります。
素材 | 特徴 | |
---|---|---|
ロックウール | 溶解スラグや天然岩石 | 曲げる動作に弱く、柔軟性が低い。 |
グラスウール | ガラス | 吸水性があり、水を吸うと断熱性能が低下する。 |
どちらも価格は同程度であるため、現場や状況に応じて使い分けられています。
アスベスト(石綿)とは「せきめん」や「いしわた」と呼ばれる、天然に存在する繊維状けい酸塩鉱物です。同じ鉱物繊維ですが、ロックウールとの大きな違いは「天然物である」という点です。
また、アスベストは建物の保温や断熱の目的で使用されていましたが、現在は原則使用禁止となっています。アスベストの繊維が肺線維症や悪性中皮腫の原因になり、肺がんを起こす可能性があるためです。ロックウールよりも数十〜数百倍細い繊維のため、呼吸器系に入りやすいとされています。
また、最近では木材由来の断熱材もあります。断熱性や透湿性に優れたサステナブルな断熱材になります。気になる方は、下の記事もご覧ください。
ロックウールのメリットは、下記の通りです。
それぞれわかりやすく解説します。
ロックウールは、繊維の隙間に大量の空気を含有させ、壁を作ります。空気の壁によって熱が移動しにくくなるため、暖気、冷気どちらもの進入を抑えられるのです。
加えて、断熱材の性能は「熱伝導率」という指標によってはかられ、数値が小さいほど熱に弱いとされています。熱伝導率とは、1mの厚みがある素材の両端に1℃の温度差がある場合、1秒間にどれくらいの熱量が伝わるかを示した指標です。断熱材としてよく使用される「フェノール」が0.020なのに対して、ロックウールは、0.038と高いため、多くの場面で使用されています。
ロックウールは、素材が無機質のため燃えにくく、建築資材の中でも高い耐火性能を持つ素材です。
実際に「北海道立総合研究機構建築研究会本部 北方建築総合研究所」と断熱材メーカー6団体による耐火実験で、ロックウールの耐火性能の高さが実証されました。素材を700℃、10分加熱するという方法がとられた結果、他の断熱材は燃え尽きてしまいましたが、ロックウールのみ、表面が焦げただけでした。
火災が起こった場合、煙や炎で避難できなくなるまでは、出火から数分程度と言われています。住宅にグラスウールを使用していれば、逃げるまでの時間を確保できるでしょう。
参考:ロックウールは火災に強い(耐火性)|JFEロックファイバー株式会社
ロックウールは、繊維間に含まれる多くの空気によって音エネルギーが吸収されるため、防音材としても使用できます。低音域の吸音率は低い傾向にありますが、厚みを増やしたり、より密度の高い製品を使用したりすることで効果を上げられます。
ただし、人間は、室内に音の反響が全くない状態に置かれると、精神的に不安定になると言われています。個人で部屋の防音性能を高めて、全く音がしない空間を作るのは難しいかもしれませんが、完全に音をシャットアウトすることを目的とするのではなく、適度な防音設備にしましょう。
ロックウール使用に関しては、大きく分けて下記2つのデメリットが存在しています。
デメリットを踏まえた上で、使用を決めましょう。
ロックウールは、同じく人工繊維の素材として知られる「グラスウール」と比較するとやや高価です。価格だけで判断するのであれば、グラスウールが良いでしょう。
ただし撥水性能ではやや優位となるため、多湿な現場や水に濡れる可能性がある場所で使用する場合はロックウールがおすすめです。どちらの素材も一長一短のため、コストや性能、設置場所など多方面から見て検討しましょう。
ロックウールは、原料が鉱物のためやや重くなっています。そのため、きちんと固定されていなければ、壁の下の方に落ちてしまい、想定していた断熱効果を得られません。脱落を防ぎつつ隙間をきちんと埋めるためには高い技術力が必要です。きちんと効果を発揮するために、十分な施工実績やスキルのある業者に依頼しましょう。
ロックウールは施工場所によって使い分けられるよう下記のような製品に姿を変えて販売されています。
製品の概要やどのような場所で使用されているかを解説します。
ロックウールボードとは、押し固めたロックウールをガラス線維性の布「ガラスクロス」で額縁状に覆ったものです。密度が高いため「吸音性」は落ちますが、その分ボードの向こう側に音を通しにくい「遮音性」が高くなっています。
ボード上になっており、高い施工技術がなくても簡単に設置できるため、マンションでの防音対策や防音室制作などDIYでもよく用いられています。
吹付けロックウールとは、粒状に加工したロックウールに、硬化剤として「セメント」を混ぜた流動性のある素材です。専用の吹付け機を使用し、現場で直接下地に吹き付けるため、複雑な構造でも簡単に継ぎ目の無い被覆層を形成できます。
断熱材として屋根や壁、天井に使用されたり、不燃製品でもあるため、耐火被覆材として鉄骨ビルや建物の柱や梁に使用されたりしています。
ロックウールは、比較的手に入りやすく下記のような場所で購入可能です。
数量による価格や運搬のコストを考えて、最適な場所で購入しましょう。
特殊な素材であるため、購入先としてまず思いつくのが通信販売ではないでしょうか。ほとんどのメーカーが発売している製品を購入できるため、それぞれの施工現場に適切なものを購入できます。
ただし、最小販売数が「ケース購入」の場合もあるため、DIYとして少量が欲しい場合は注意が必要です。多くの製品を比較して購入したいという方におすすめです。
「DIYのため、少量でよい」「実際に触れて比較してみたい」という方にはホームセンターがおすすめです。
実際に自分の手や目で商品を比較できるほか、店員に詳しい話を聞くこともできます。疑問点や不明点などをすぐに解決できるため、DIY初心者やロックウールについてあまり知らないという方でも購入のハードルが低いでしょう。
しかし、購入後の運搬は自分で行わなければなりません。大きいサイズのものや複数購入した場合は、運搬コストがかかるため、注意が必要です。
ロックウールは、断熱性や耐火性、防音性など優れた性能を多数持つ素材です。
アスベストとは異なり、発がん性物質は含有されていないため、使用しても身体に大きな悪影響を与えることはありません。
ただし、同じ人工繊維素材であるグラスウールと比較した場合に高価格なことや設置にスキルが必要であるなど、短所も存在しています。
費用や素材の特徴を吟味して、現場の状況に最適な素材を選択しましょう。
森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。
おすすめの記事