森林・木材のお得情報
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2023.4.28
岐阜県は県の面積の82%を森林が占める、全国で2番目に森林の割合が多い県です。豊富な森林資源を背景に、多くの歴史ある家具メーカーがあります。一度は岐阜産の重厚な家具を見たことがある、という方も多いことでしょう。
本記事では「岐阜で生産される木材について詳しく知りたい」「岐阜産の木材で家を建てたい」と考える方に向けて、
を紹介します。
岐阜県は日本のほぼ真ん中に位置し、御嶽山、乗鞍岳、奥穂高岳など標高の高い山を抱える飛騨地方と、裏木曽と呼ばれる地区を抱える東濃地方で盛んに林業が行われています。豊かな森林資源を背景に木工技術が高度に発展してきた岐阜県は、室町時代から良質な木材の産地でした。
現在、岐阜県で生産されるブランド木材を使って、多くの住宅や木製品が作られています。
岐阜県で生産されるブランド木材には以下のようなものがあります。
それぞれを詳しく解説します。
東濃桧(トウノウヒノキ)は岐阜県の東濃地区を中心に生産される桧です。東濃地区は日本におけるヒノキ生産地の北限に当たり、寒暖差が大きく、特に冬の寒さが厳しい地域として知られています。
東濃桧は時間をかけてゆっくり生長していくことになるため、年輪の幅が細かく、均一であることが大きな特徴です。また、強度が優れていることに加え、淡いピンク色で艶のある材質であること、香りが高いことなども特徴になっています。
平成3年からブランド材になりました。木肌の美しさや香りの高さから、住宅の柱や床だけでなく家具やまな板まで、幅広い用途で利用されています。
岐阜県郡上郡、武儀郡の長良川流域で産出されるスギ材は「長良杉」と呼ばれるブランド材として知られています。
長良杉の最大の特徴は「木目の美しさ」です。
粘り強く、加工しやすい木材であることも特徴ですが、中心に近い赤身の部分は湿気にも強く、雨が多い地域での使用にも向いています。岐阜県内では圧縮技術や板挽き技術の改良により、柱や桁などの構造材だけでなく、床材、天井板などの内装材、また家具材としても活用されています。
参考:長良杉|国産材総合情報館
かつて伊勢神宮の式年遷宮用御用材として木材供給をおこなっていた「出ノ小路神宮備林」が昭和22年の林政統一によりその一部が「木曽ヒノキ備林」と名称を変え、現在、東濃森林管理署が管理しています。
一般的に「木曽ヒノキ」と言われるものは、長野県木曽谷から岐阜県木曽川上流区域に広がる、この森林で産出される150年以上の樹齢を持つ天然ヒノキを指します。
木曽ヒノキは、法隆寺の五重塔に使用されているということからも分かるように、反りや曲がりなどの狂いが少なく、耐用年数が非常に長いことが特徴です。
また、森未来では木曽ヒノキも取り扱っています。気になる方は、下の記事もご覧ください。
岐阜県では県産材の利用促進に向けて、様々な補助金制度を制定しています。以下が代表的な事業です。
それぞれの事業の目的や対象について、主な内容を紹介します。
県産材需要拡大施設等整備事業の概要は下記のとおりです。
目的 | 森林整備を促進し、森林の公益的機能を高める県内における林業、木材関連産業を振興する |
対象 | 市町村、農業協同組合、森林組合等が実施する各種県産材活用事業による施設 |
基準 | 【木造化】木質部材の80%以上に「ぎふ証明材」使用すること柱・梁などの主要構造材に100%「JAS製品」または「ぎふ性能表示材」を使用すること【内装木質化】延床面積の60%以上の内装を木質化すること木材はすべて「ぎふ証明材」を使用すること床、壁、天井の内、2箇所以上を木質化すること |
補助金額 | 【木造化】17,000円/m2以内(上限30,000千円) 【内装木質化】10,000円/m2以内(上限30,000千円) |
上記以外にも、県産材を利用した施設整備をおこなう事業団体に対して、経費の一部を助成するタイプも設定されています。
住宅用県産材高騰対策緊急支援事業の概要は下記のとおりです。
目的 | 木材価格の高騰で落ち込む住宅建築着工数に対して、木造住宅着工戸数を下支えする |
対象 | 県内工務店等 |
基準 | 「ぎふ性能表示材」又は「ぎふ証明材かつJAS製品」を構造材の60%以上使用すること |
補助金額 | 木材価格の上昇に伴う割増経費の一部(上限100万円) |
県外に家を建てる場合でも適用される事業でしたが、2023年4月現在、新規申請は受付終了しています。
ぎふの木で家づくり支援事業の概要は下記のとおりです。
目的 | ぎふの木による家づくりを支援する |
対象 | 施主 |
基準 | 【構造材】「ぎふ性能表示材」または「ぎふ証明材かつJAS製品」を構造材に80%以上使用すること【内装材】「ぎふ証明材」または「ぎふ性能表示材」または「ぎふ証明材かつJAS製品」を使用すること |
補助金 | 県内新築タイプ:最大32万円県外新築タイプ:最大20万円県内改修タイプ:最大16万円 |
2023年4月現在でも応募を受け付けている事業です。国費での補助事業のため、併用できる補助事業とできないものがあるため、事前に確認しておくのが良いでしょう。
岐阜県では広く県産材の認知を広め、利用促進するための取り組みを行っています。そこで、代表的な取り組みについて紹介します。
岐阜県では、県産材を使用して建築された、先進的なデザインを取り入れた施設や木の良さを感じられる施設を「ぎふの木づかい施設」として認定する制度を平成27年度から開始しました。
県産材の利用促進を、広く県民にPRすることを目的としています。対象となるのは、認定基準を満たす住居専用以外の施設です。認定基準は、以下2つのうち、どちらかを満たすこととなっています。
現在、岐阜産材を使用し、意匠性の高いデザインで建築された106施設が認定されています。
岐阜証明材推進制度は「ぎふ証明材」を認定し、岐阜県産材の履歴証明をおこなう制度です。この制度は県産材の普及を進めると共に、ブランド力の向上を図る目的で創設されました。
県内で合法的に伐採された木材を「ぎふ証明材」とし、その中でも品質や性能が担保された木材を「ぎふ性能表示材」と認定し、追跡可能な状態にしています。
また「ぎふ証明材」や「岐阜性能表示材」を製品として出荷するためには事業者登録が必要です。
岐阜県では、平成22年に制定された国の法律「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」や平成18年に制定された「岐阜県森林づくり基本条例」に基づいて、公共施設などで県産材を積極的に利用することを目的に、「公共施設等における県産材利用推進方針」を定めています。
主な内容としては以下のようになります。
岐阜県では5年間を1期とする目標を設定し、市町村や教育施設が行う木造化の取り組みに、助成金の制度を設けるなどの方法で県産材利用の推進を図っています。
岐阜県で県産材の普及や流通に関わる代表的な団体として、以下のようなものがあります。
ここでは、それぞれの団体について解説します。
ぎふの木ネット協議会は、岐阜の県産材を使った家造りに関して、さまざまな側面から推進を図るための連携チームです。
森林組合、林業関係、製材メーカー、プレカット工場、木材加工、流通など、木材関連産業に加え、設計、建築、不動産、金融、保険など、家造りに関する産官学230以上の業種が連携しています。
ぎふの木ネット協議会が提供するサービスは、主に以下の4つです。
岐阜県産材で家を建てたいと考える方が、情報を得たり、問い合わせや相談をしたりできる窓口になっています。
参考:ぎふの木ネット協議会
岐阜県木材協同組合連合会は、主に、組合会員の育成や経営の改善、技術の向上などに関する指導や情報提供をする組織です。
主な活動は下記の通りです。
現在、組合会員36名、一般賛助会員78社で運営され、木材産業に従事する事業者に対してのサポートをおこなっています。
参考:岐阜県木材協同組合連合会
岐阜県には「ぎふの木づかい施設」の認定制度に代表されるように、県産材を利用した建築物が多く見られます。また、県産材は木製品や家具などにも、幅広く使われています。
ここからは県産材を利用した建物や木製品の実例をいくつかご紹介していきます。
大垣市役所の新庁舎は「ぎふの木づかい施設」にも認定された建築物です。
老朽化した庁舎の建て替えにあたって、内装に加えて机やいすなどにも県産材が利用されました。天井を始め、一階市民ロビーの窓に設置されたルーバーや、窓口のカウンター、二階市民コミュニティースペースの床やテーブルに県産材が使用されています。
訪れる利用者の目に触れやすい場所に県産材が使われたことによって、木のぬくもりを感じやすい空間になると同時に、県産材のPRになっていると言えるでしょう。
参考:大垣市新庁舎が「ぎふの木づかい施設」に認定されました!|大垣市
岐阜県美濃市にある美濃保育園では、岐阜県立森林文化アカデミーと保育園側が共同で進めた「木育園舎プロジェクト」の第一号として、子育て支援棟が建て替えられました。
柱に樹齢120年を超える天然ヒノキを使用し、構造材を枝のように見せることで大きな木の中にいるような空間が作られています。床にはスギの無垢材の他、9種類の広葉樹の木材も使用し、さまざまな色合いが楽しめるようになっているのも特徴的です。
古くから飛騨の家具職人達が使用してきた飛騨産のヒメコマツを使用して、岐阜県産材のボールペンが生産されています。ヒメコマツは、北海道から九州まで広い範囲の山地に自生する樹木で、飛騨や木曽の山地でもよく見られる樹種です。
飛騨高山では仏壇の材料などにも使われる身近な材料で、柔らかく加工がしやすい上、狂いが少ないことが特徴となっています。
「飛騨ひめこまつ」と名付けられた商品は、県産材が使われていることが分かりやすい商品と言えるでしょう。手に馴染みやすいデザインと共に、木肌の優しさや香りが感じられる美しいボールペンです。
参考:岐阜県産材 ボールペン 飛騨ひめこまつ|f-style-japan
他にも岐阜県は、木工の街として有名です。全国で2箇所しか加工できる工場がない「圧密加工」も岐阜で行われています。無垢の木材の物性を大きく向上させることができ、化学物質も使わないた安心安全に利用できます。
気になる方は、下の記事も参考ください。
東濃桧、長良杉、木曽ヒノキは、岐阜県が誇る良質なブランド材です。
古くから良質な木材の生産地だった岐阜県では、高度な木工技術を背景に県産材を使用した建築物や木製品が盛んに作られています。岐阜県でも独自の認定制度や補助金事業を展開することで、県産材の普及を積極的に進めています。
施策によっては、岐阜県内に住んでいなくても補助金を受けられる可能性があります。
岐阜県の良質な木材で家を建てたいと考えている方は、条件など該当するものがないか、調べてみてはいかがでしょうか。
森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。
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