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2023.8.28
新しく店舗を作る際、漠然としたイメージをどう具現化したら良いか分からない、と悩む方もいるのではないでしょうか。店舗の設計やデザインのポイントは、業種や店舗のコンセプトの他、機能性や周辺環境との調和など多岐にわたります。
そこで今回は、店舗を設計する際のポイントについて、さまざまな側面から解説します。近年進められている木造・木質化のポイントも合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
店舗の設計をする際に基本となるポイントは主に、以下のような点です。
つまり、施主の考えるコンセプトを具現化するのはもちろん、内装をコンセプトや動線に合わせて最適化し、外装を周囲と調和させるということです。
ひとつずつ、深掘りしていきます。
店舗設計を考えるうえで最も重要なスタートは、施主の希望や情報をしっかりヒアリングすることです。施主が考える店舗のコンセプトや店舗にかける思い、そして開業予定日や予算、物件の規模や希望エリアなど、情報が明確であるほど、その後の設計や素材選びで迷うことが少なくなるでしょう。
コンセプトが決まったら、その内容に沿ったデザインや素材選び、ターゲットとなる顧客の好みや動線をしっかり反映させた設計が求められるでしょう。
また、店舗設計としては法律の遵守も求められます。建築基準法27条で、店舗は特殊建築物に該当し、不特定多数の人が利用する建築物は、耐火・準耐火建築物として建てることが必要です。
店舗はコンセプトやイメージを具現化するだけでなく、売り上げを稼ぐ場所であることが前提です。従業員と顧客の動線を考えた内装にすれば、作業効率や顧客の回遊率のアップが期待できます。
また、火気を使用する店舗や地階にある店舗には、避難経路に対して内装制限がかかるため、避難用の動線と合わせて、内装材も検討しましょう。
近年、店舗などの木造・木質化が進められています。令和3年10月1日に施行された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」で、これからの建築物には木造・木質化が推奨されているからです。
木材を使用して建築するメリットの一つに、樹種が多いことでさまざまなコンセプトにあったデザインを作れることがあります。
参考:脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律|林野庁
では、コンセプトを店舗設計に反映させるためには、具体的にどのようなポイントに注意したら良いのでしょうか。ここでは、外装と内装のポイントに分けて解説します。
店舗である以上、「入りたくなる店」で来店客を増やすことが求められます。一般的に「入りたくなる店」のポイントは、外から店の中がイメージできることです。
例えば飲食店であれば、窓から中の雰囲気や客数が見える方が好まれる傾向にあり、高齢者向けの施設であれば落ち着いた雰囲気とバリアフリーであることが分かりやすい方が良いと考えられます。
外装を考える際のもう一つのポイントは、周囲との調和です。店舗周辺の景観とかけ離れた外装の店舗には、期待するターゲットの来店が見込めない可能性があります。
目を引く外装でターゲットに見つけてもらう場合でも、周囲の景観との調和を意識した店舗にするのが良いでしょう。
店舗内の居心地の良さは、滞在時間を延ばしたり、再来店を促したりする効果があります。例えば、飲食店であれば、テーブルやカウンターの高さや横幅、奥行きなどのサイズによって、店舗にあった居心地の良さを作ることも可能でしょう。物販のお店であれば、レジカウンターの場所によって、居心地の良さに違いが出ます。
店舗の内装は、使用する素材によって大きく印象が異なります。コンクリート打ちっ放しの内装はモダンな印象が強くなり、木材を使用した内装は温かみのある印象が強くなる傾向があります。
特に木材は、自然な風合いで多くの表情をもつため、色や樹種、種類によってさまざまなコンセプトに対応できる特徴を持ちます。木の質感や特性を活かすことで、デザインの幅を広げることが可能でしょう。
ここからは、木材を利用することを前提とした店舗設計の流れについて解説します。他の素材と木材では、調達に要するリードタイムの違いがあります。そのため、調達開始のタイミングには注意が必要です。
考え方の基本ポイントでも解説した通り、まずは施主と建築士、施工業者が共通の認識を持ち、それを基にしたデザインのイメージを共有しましょう。業種や取り扱い商品、ターゲットなどによっても内外装ともに大きく違います。
また、建築するエリアごとの法規制も考えたうえで、コンセプトをどうやって具現化するのか、デザインと現実のすりあわせが必要です。
森未来では、木材・木質建材を生かしたコンセプト提案を行っております。また、造作のデザインイメージを実現させる木材加工のノウハウがございます。気になる方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。
店舗物件の選定は予算に大きく影響します。物件が居抜きで利用できるのか、0から開始するのかによって、設計から工事まで違いが出るからです。メリットデメリットを考え、譲れない点に絞って物件を選定するのが良いでしょう。
物件の選定が完了したら、設計監理契約を結びます。設計監理契約では、設計と工事管理について費用とその支払い時期、設計の期間など重要な事項についてまとめます。
参考:建築設計・監理等業務委託契約書類|一般社団法人日本建築士事務所協会連合会
設計の際には、素材も選定します。木材を利用する場合は、設計段階から調達を意識して動くのが良いでしょう。
木材には伐期があるため、設計が完了してから調達を開始すると、希望する木材の納期がかかるだけでなく、時期によっては必要な量が手に入らない可能性もあるからです。
公共建築物などでは「材工分離発注」と呼ばれる発注方法で、計画段階から調達を開始することもあります。
参考:木材の発注方式・工程計画と設計者・施工者の選定方式|木を活かす建築推進協議会
建築物の木造・木質化には、心身へのメリットがさまざまな研究から分かっています。ここでは、店舗設計で木材を使うことのメリットを、身体的効果、心理的効果、社会的効果の3つの側面から解説します。
参考:内装木質化した建物事例とその効果|公益財団法人 日本住宅・木材技術センター
身体的効果とは、健康や安全に作用する効果のことです。木の香りや色彩に対して「リフレッシュ」「疲労感の解消」などの効果があることは、体感的に分かっている方も多いかもしれません。
その他にも、免疫力アップや睡眠の質を向上させる効果、湿度の調整や消臭・抗菌の効果があることも知られています。
ヒノキなど、特有の木の香りが「癒やし」の効果を生むことは良く知られています。心理的な効果は、オフィスや子ども・教育施設を木質化させた場合に、モチベーションがアップしたり、集中力が増したり、作業・業務効率を高めたりという効果で、顕著にあらわれます。
店舗の設計をする際に、木造・木質化するメリットには、社会的効果の高さもあります。それは、木質化した空間を好む人による、来店客の増加が見込まれるからです。さらに、地球環境や地域材、地域の経済に対する企業の姿勢をアピールする機会としても、捉えられます。
店舗設計に木材を使うメリットは、費用面にもあります。国の主導で建築物の木造・木質化が進められていることもあり、利用できる補助金・助成金事業があるためです。その代表的な事業について解説します。
林野庁で実施されている「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策補助金」は、森林資源の活用を通じて「グリーン成長」の実現を図るために川上から川下までの総合的な取り組みに対して行われる支援です。
その中で、店舗設計を木造・木質化する際に利用できる対策に「木材安定供給・利用対策」の中の「都市の木材利用促進総合対策事業」があります。
事業の概要は以下のとおりです。
<公募対象事業>
参考:森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策補助金|林野庁
国土交通省が実施する「サステナブル建築物等先導事業」は、条件にあったプロジェクトの費用の一部を補助することを目的として実施されています。事業の概要は以下の通りです。
<補助対象事業>
<補助対象経費>
対象事業の種類やプロジェクトの規模、床面積などによって補助額は変動します。
優良木造建築物等整備推進事業は、普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトを支援するために実施されました。事業の概要は以下の通りです。
<補助要件>
<補助対象費用>
一般社団法人全国木材組合連合会が実施する事業で、都市部での木材需要の拡大に向けて、木質耐火部材、JAS構造材、内装の木質化、木製サッシの普及・実証の取り組みに対して支援を行うものです。事業の概要は以下の通りです。
<公募条件>
<対象物件>
参考:都市における木材需要の拡大事業|一般社団法人全国木材組合連合会
今回は、これから店舗を設計する方に向けて、店舗設計に必要なポイントを解説しました。店舗を設計する際には、施主と設計者・施工業者の情報の共有が不可欠です。
そして、これから建築する建物ならば、木造・木質化を念頭に置いて設計するのがおすすめです。さまざまな樹種で多様な業種やコンセプトに対応できるのはもちろん、心身ともに効果が大きいだけでなく、費用面でも補助金などの申請対象になる場合もあります。木材を使用した店舗設計をする際は、ぜひ参考にしてみてください。
森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。
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