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2024.5.14
本記事では、ウリンなど世界的に有名な硬い木材、黒檀や柿など硬い木10選をご紹介します。また、DIYで使う時の注意点も併せてご紹介しますので、硬い木を使って製作したい方はぜひご覧ください。
目次
木材の硬さには「気乾比重」が大きく影響しており、気乾比重が大きい樹種ほど硬いという特徴を持っています。学術的な硬さの指標はビッカース硬さ、ブリネル硬さなどがありますが、今回の記事はあくまで比重と硬さを密接に関係していることから、気乾比重を指標として紹介します。
また、以前の記事で木材の重さについて解説したものもあるので、ぜひ参考にしてください。
世界的に有名な硬い木材は、以下の3種類です。
ホームセンターでの販売は稀ですが、より重厚なDIY作品を製作したい方におすすめです。
リグナムバイタはハマビシ科の広葉樹で、世界一硬く重いことで有名な木材です。気乾比重は1.20~1.35と高密度で、重さだけでなく硬度もかなり高いため、金属用の機械で加工されています。
机や椅子などの家具のほか、木刀やギターなどの材としても重宝されています。成長が遅く、市場に出回る量が少ないため、高価で取引されています。
参考:リグナムバイタ|一般財団法人 日本木材総合情報センター
ウリンは、クスノキ科の広葉樹の木材です。気乾比重は0.96と高く「鉄のように硬い」ことからその名前がつけられました。
アイアンウッドには強い抗菌作用のある「ポリフェノール」が含まれており、腐れや害虫からの被害を抑える働きがあります。また、ポリフェノールには、太陽光や酸素の作用によって色の深みを増していくため、経年変化も楽しめます。
参考:ウリン|木工ランド
ラバーウッドは、トウダイグサ科の広葉樹で、別名「ゴムノキ」とも呼ばれ、ゴムの原料となる樹液が採取できることで有名な木です。かつては、樹液採取のためだけに使用されていましたが、最近は樹液採取後も材と利用されています。
気乾比重は0.65です。穏やかな木目と加工後の手触りの滑らかさが特徴で、集成材の原料や階段の手すりなどに多く利用されています。
参考:ゴム、パラゴム|一般財団法人 日本木材総合情報センター
本記事で紹介する硬い木材は以下の10種類です。
樹種 | 気乾比重 |
---|---|
黒檀(コクタン) | 0.98 |
柞の木(イスノキ) | 0.75〜1.02 |
赤樫(アカガシ) | 0.80〜1.05 |
一位樫(イチイカシ) | 0.87 |
浅田(アサダ) | 0.70 |
柿(カキ) | 0.60〜0.85 |
白樫(シラカシ) | 0.74〜1.02 |
水楢(ミズナラ) | 0.45〜0.90 |
椿(ツバキ) | 0.81 |
欧州赤松(オウシュウアカマツ) | 0.42〜0.62 |
DIYでもよく使われる木材の特徴を詳しく説明します。
黒檀は、カキノキ科の常緑広葉樹です。常緑広葉樹とは、一年中緑の葉をつける木の内、平たい葉を持つ木の事を指します。気乾比重は0.98と非常に重く硬い木材で、耐久性に優れていますが、割れやすいため釘止めは困難です。
中心に近い「心材」は、桃色と黒色による縞状、より外側の「辺材」は灰白色である場合がほとんどです。家具や仏壇、ゴルフクラブのヘッドなどに用いられています。
柞の木は、マンサク科の常緑高木です。気乾比重は、0.75〜1.02で非常に耐久性が高く、国産材の中で最も硬いとされています。重硬なため加工は難しいとされていますが、うまく仕上げられると、きれいな加工面になります。
心材は、褐色や紫色で辺材はやや紅色を帯びた淡黄褐色です。また、三味線や琵琶などの楽器や家具、木刀に使用されています。
赤樫は、ブナ科の常緑広葉樹です。日本でも硬い木材の1つとして知られており、気乾比重は0.80~1.05です。心材は淡紅褐色から赤褐色、辺材は淡黄褐色で、境はあまりありません。
かつての日本では、建材や器具材など重厚な材料が必要な際、多用されていましたが、需要の変化や資源現象の理由などから目に触れる機会は減ってきています。現在では、木刀やゲートボール、屋内遊具に使用されています。
一位樫は、ブナ科の常緑高木で、どんぐりをつけることでも知られる木です。気乾比重は0.87で、心材は淡い赤褐色から赤褐色で辺材は赤色を帯びた淡い黄褐色で境目は不明瞭です。カシ類の中で比較的成長が早く、材の通直性も高いことから古くから植栽されてきました。
かつては、船具として使用されていましたが、現在ではスコップや農耕具の持ち手として使用されています。
浅田は、カバノキ科の落葉高木です。落葉とは一年の中で葉を落とす時期がある木の事を指します。気乾比重は、0.60~0.87で加工はやや難しいと言われていますが、うまく加工できると光沢のある材面になります。
心材は濃い赤褐色、辺材は褐色を帯びた白色です。建築用材や家具、日常の道具類など多くのものに使用されています。
柿は、カキノキ科の落葉広葉樹です。気乾比重は0.60~0.85で重硬である反面、割れやすいため、加工は難しいと言われています。
心材と辺材の色の差はあまりなく、全体的に淡い橙褐色です。黒色の縞模様や濃淡が生まれたものは「黒柿」と呼ばれ、希少価値が高いため珍重されています。和家具や建築用の装飾材として使用されています。
白樫は、ブナ科の常緑高木です。気乾比重は0.74〜1.02です。
心材と辺材の色の差はほとんどなく、灰色がかった淡褐色ですが、虫害の場合、不規則な変色部分が出ます。木材の色が薄いため、虫害の被害を受けたものは大きく価値が下がります。器具材や薪炭材、器具の柄など硬く強靭さが必要な場合によく使われていました。
現在では、白い色と緻密さを活かして食器にも使用されています。
水楢は、ブナ科の落葉高木で、どんぐりをつけることでも知られる木です。気乾比重は、0.45〜0.90です。心材は褐色、辺材は褐色で大きく違いがありはっきりと区別できます。年輪の境目にそって水分の通り道である「道管」が並んでおり、成長が良いほど木材の比重が高くなり、硬くなります。洋風の家具や床板、ウイスキーの樽などに利用されています。
椿は、 ツバキ科の常緑高木です。オリーブ油と並ぶ「ツバキ油」が取れることで有名な樹種です。気乾比重は、0.81で切削や加工は困難と言われています。
心材、辺材は紅褐色で色差はありません。磨くと光沢がでるため、過去には細工物やこけしなどに使用されていましたが、現在では備長炭の代用として炭にも使用されています。
欧州赤松は、 マツ科の常緑針葉樹で「レッドウッド」とも呼ばれます。針のように鋭い葉を持つ樹種で、気乾比重は0.42〜0.62でマツ類の中でも重硬です。心材は、やや黄色から淡い桃色や赤褐色のものがあり、辺材は黄白色です。
水中に入っている際の耐久性が強く、杭用材として大量に用いられていました。欧州赤松の集成材は、強度、耐朽性が高く、反りやねじれが少ないメリットがあります。
硬い木は一般的に耐久性が高く、傷がつきにくいメリットがありますが、DIY初心者にとって扱いが難しいです。ここからはDIYで使用する際に注意すべきポイントを2つ紹介します。
一般的に、木材の比重が0.5を超えると加工時の難易度は上がり、以下のような工具が必要になります。
しかし、硬い木材は、きちんと切らなければ刃がひっかかり、器具が思わぬ動きをする可能性もあります。
手動の場合も気をつけなければなりませんが、電動工具の場合「キックバック」が起きる可能性があります。キックバックとは、木材に挟まった反動で刃が自分の方向に急激に跳ね返ってくる現象です。
キックバックの主な原因は、無理に進行方向を曲げる、反りの大きな材を切断する、切れの悪い刃を使用する等です。硬い木材をカットする場合は、定期的にメンテナンスされた器具を使い、細心の注意を払って丁寧に行いましょう。
硬い木は一般的に軟らかい木よりも密度が高く、重量が重くなります。そのため、持ち運びや設置が大変になることがあります。また、家具などの場合、床や壁に負荷がかかりやすいため、注意が必要です。
硬い木材を使用したい場合は、棚やベッドなど、移動させる機会が少ない大型家具に用いるのがおすすめです。椅子や机など部屋の中で頻繁に移動させる可能性があるものは、重量の軽い木材がおすすめです。
逆に、軟らかい木は、一般的に重量も軽く加工性に優れます。DIYで扱いやすい木をお探しの方は以下の記事もぜひチェックしてみてください。
硬い木材は、丈夫で耐久性に優れている反面、加工が難しく危険でトラブルが起こりやすくなります。そのため、硬い木材を使用する際には、専門家に相談するのも一つの方法です。
硬い木材の使用に関する相談先としては、以下が挙げられます。
木材加工業者は木材の加工に精通しており、硬い木材の加工にも対応しています。木材販売店は、硬い木材の種類や特徴について詳しく知っており、適切な木材を提案をしています。家具メーカーは、硬い木材の使用経験が豊富で、施工や設計に関するアドバイスを受けることができます。
またeTREEでは、硬い木から軟らかい木まで、さまざまな木材を取り扱っています。プロジェクトに応じて適切な樹種のご提案も可能なので、木材探しでお困りの方はぜひお問い合わせください。
硬い木材は、耐久性が高いものも多く、長期間使用するようなDIY作品におすすめです。
硬い木は、木目や色味が美しいことから家具などに多く使用されるため、見た目の好みで選ぶのも良いでしょう。ただし、カット時に刃が通らず怪我につながる可能性もあるため、十分注意をして製作に臨みましょう。
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