森林・木材のお得情報
この記事をシェアする
2023.4.26
快適な住まいをつくるうえで、「音」に関する問題は意外と見落とす方も多くいます。
例えば、楽器を思い切り楽しみたい場合には、室外に放たれる音に配慮しなければ、トラブルにつながる可能性もあります。
また、幹線道路や線路が近い場合、車や電車の走行音など室外からの室内に入る音によって快適性が失われるかもしれません。
本記事では、
を紹介します。
住みやすさや、ライフスタイルにあった防音を考えていきましょう。
そもそも、防音、遮音、吸音という言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。どれもなんとなく「要らない音をなくす」という意味ではなんとなく同じように感じます。しかし、実は考え方やメカニズムに違いがあります。言葉の違いを知り、適切な対策を行いましょう。
目次
防音とは、室外からの音が入ってくることや、室内の音が漏れるのを「防ぐ」ことを意味しています。
実はこの「防音」という言葉は概念的なもの、状態を表すものであり、防音という言葉そのものが具体的な方法を示すものではありません。つまり「防音」という状態を達成するために「遮音」や「吸音」などの手法を用いるということです。
「防音材」と呼ばれるものは、この遮音や吸音というメカニズムを利用した素材ということになります。
特に床などは、音が響きやすいため防音性能を付与したフローリングなどもあります。気になる方は、下の記事もご覧ください。
「遮音」とは、音を遮ることにより防音を達成しようとする考え方です。
「遮」という漢字は「遮光カーテン」「遮熱シート」「遮断機」などに使用され、どれも目的とするものが跳ね返されるイメージがあります。遮音も同様で、空気中を伝わる音の波を、跳ね返すことによって音の通過を防ぎ、中からの音は外に、外からの音は中に入ってこないようにします。
鉄板やコンクリート、石膏ボードやゴム材など、密度が高く重い素材の方が高い遮音性を誇るといわれています。
一方で、遮音において注意しなければならないのは「反響」です。室外であれば跳ね返った音はそのまま外部に拡散していきますが、室内では跳ね返った音が別の部分に当たりさらに音が跳ね返る可能性があります。そのため、室内で音を抑えるためには、音波を吸収する「吸音」という考え方が重要になってきます。
音は空気中において振動の波として伝わってきますが、音の波のエネルギーを受け止め、吸収することで音の伝達を防ぐのが「吸音」です。
吸音材には、たくさんの細かな穴が開いている「多孔質」な素材が使用されています。細かな穴によって、侵入してきた音の波を受け止め吸収しています。
ただすべての音を吸収できるわけではないため、適切な遮音方法と組み合わせることが重要です。
これまでに紹介したように、吸音と遮音は同じ防音対策の方法ではあるものの、それぞれの仕組みは全く異なります。
遮音材は、音を反射させてなるべく透過させないようにするためのものです。そのため、会議室や音楽室、工場など外に漏れる音を防ぎたい施設、部屋に効果的です。プライバシーの保護や近隣対策、また環境対策などとしての使用が考えられます。
一方で、室内で反響する音の影響を低減するのには遮音材は向いていないため、吸音材の使用を検討しましょう。
吸音材は音のエネルギーを吸収し、音の波の伝達を防ぎ音を小さくするためのものです。
広い会議室で声が響いてしまい発言内容が聞き取りづらい場合や、ライブハウスやスタジオ、音楽ホールなどで音の反響を低減する場合に用いられています。オフィスや職場環境の改善や居住性の向上、またライブハウスなどで反響や残響をコントロールし観客が音楽をより楽しめる空間にするためにも吸音材は効果を発揮するでしょう。
一方で、例えば室内での音漏れや外の騒音などの、反射以外で発生する音の影響を低減するのには吸音材は向いていません。
高い防音効果を得るためには、遮音材と吸音材を組み合わせての使用がおすすめです。遮音材は音を反射させるため、外への音漏れを低減できますが、室内であれば音が反射して響きやすくなってしまいます。そこに吸音材を組み合わせることで、「音が外に漏れないうえに、室内でも音が響かない」という環境を作ることができるのです。
ただし、具体的にどのような素材をどのように組み合わせればいいのかは、目的や環境によっても異なりますので、専門業者への相談がおすすめです。
参考:防音対策における吸音と遮音とは|ハニカム防音パネル テクセル SAINT|ハニカムコア材 TECCELL
さて、遮音や吸音についての理解を深めたところで、より防音性の高い快適な住まいを作るために、遮音材や吸音材以外の対策についても考えていきましょう。
幹線道路沿いや線路沿いなど、常に防音対策が必要になる場合には、遮音材や吸音材だけでなく、建物の構造から対策を考えていくと良いでしょう。遮音性の高い鉄筋コンクリート造の住まいにすると、住宅全体で音を跳ね返してくれる効果が期待できます。
また、日常的に音が侵入してきやすいのは窓です。いくら音が気になるとはいえ、一年中窓を締め切った状態で過ごすのはなかなか厳しいですよね。例えば、住まいをロの字型やコの字型になるよう設計し、中心部分に窓を設けることで音の発信源から窓を離すことも選択肢のひとつです。
建造場所や、土地に面する道路による音の影響はどの程度なのかを考えて、構造や設計を考えることも長く住むために重要な視点です。
生活する中で発生する音の影響を最小限にするためには、間取りも重要です。家族の生活時間が異なるのであれば、トイレや浴室、玄関は寝室から離しておくのが無難です。また、敷地環境も考慮するならば、道路に面する方角には寝室を配置しない工夫も有効でしょう。
異なる生活時間を過ごす場合は、音のする空間としない空間が交わらないようにすることが、ポイントです。
参考:遮音、吸音、防音の違いとは?静かに落ち着ける住まいとするための6つのポイント
最後に、性能の高いおすすめの遮音材、吸音材をご紹介します。ぜひ住まいづくりの参考にしてみてください。
SONObase (ソノベース)は、カナダのMSL社で製造された、リサイクルされた木材を高密度に圧縮した木質繊維板と、数千個の分子で構成され、弾力性のあるポリマー膜からなる吸音材です。高密度の繊維板は空気を伝わる⾳を包み込み、弾力ポリマー膜は衝撃⾳を吸収します。
住まいやビルの床において構造体によって伝わる「個体伝播音」と空気を通じて伝わる「空気伝播音」の両方に対応できるという優れた性能を有します。
リサイクル木質繊維は、主に製材所や建築現場で発生する廃材を細かくしたウッドチップを原料としており、使用後も産業廃棄物とならず、安全に処理できるため、環境に配慮した製品です。
より詳細が知りたい方は、下の記事もご覧ください。
デコスファイバーは株式会社デコスが製造するセルロースファイバー断熱材であり、リサイクルされた新聞紙を原料とした環境に優しい製品です。セルロースファイバーは、素材の繊維同士が絡み合うことで、隙間に小さな空気の部屋が作られています。音は、空気の部屋にぶつかる度に小さくなるため、入ってきた音はかなり小さくできます。
加えて、石膏ボードとあわせて施工することで、遮音性能も付加することが可能です。
住まいにおける「音」は、音楽や映画を楽しみたいといった趣味のためだけに考えるものではなく、敷地の環境、住まいの間取りや設計にも関わるとても大きな要素です。
「音」を上手にコントロールすることでより、一層快適な暮らしを作れます。
ぜひ本記事で紹介した防音の考え方や工夫を参考に、快適な住まいづくりを実現してください。
森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。
おすすめの記事