木材加工

2023.5.24

SPF材とはどんな素材?軽量で加工しやすい木材の魅力を紹介

eTREE編集室

建築物に使用される構造材には、木材や木質建材を含めさまざまな種類がありますが、その中でも、建築物・DIYなど幅広い用途で利用されているのが「SPF材」です。

しかし、SPF材の特徴や多様な活用方法を、理解できていない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、SPF材の基礎知識を詳しく解説します。SPF材の選び方や価格相場についても紹介しているので、木材の魅力をチェックしていきましょう。

SPF材とは?

SPF材とは、北米大陸にある混合林(トウヒ属・マツ属・モミ属)で育った樹木を伐採して加工した木材のことです。以下に示す3種の樹種の頭文字をとった呼称であり、主に北米大陸西海岸から輸入しています。

  • スプルース(Spruce):米トウヒ
  • パイン(Pine):マツ類
  • ファー(Fir):モミ類

SPF材は軽量な木材であり、柔らかく加工しやすいのが特徴です。また、国産のスギやヒノキが伐採まで40~50年かかることに対し、SPF材は、最短30年程度で伐採できる種類もあることから、安価で大量に輸入できます。

SPF材の活用

SPF材は、安価で手に入る木材であることから「住宅建築」「DIY」としてよく利用されています。ここでは、主な活用例をご紹介します。

住宅建築で使用

SPF材は、住宅建築として、次のような場所に使用されています。

  • 小~大規模建築物の構造枠組材
  • 構造用ディメンショナルランバー(壁、屋根、トラス、床根太、梁など)

例えば、ツーバイフォー住宅の壁・床・天井などには、SPF材が頻繁に利用されています。また、構造材としてだけではなく、柔らかい材質を活かしてフローリングにも活用されています。

DIYで使用

SPF材は、ホームセンターやECサイトで簡単に手に入る木材であるため、DIYに利用されています。素材の味を活かしたおしゃれなインテリアがDIYされています。SPF材は、加工が容易であり、のこぎりなどを使って簡単にサイズ調整を行えるため、DIY初心者でも扱いやすい木材です。

SPF材の基礎知識|種類や魅力を紹介

SPF材のことをさらに理解するため、以下の3つの基礎知識をご紹介します。

  • SPF材の種類
  • SPF材の流通状況
  • SPF材を利用する魅力

SPF材の種類

SPF材は、スプルース、パイン、ファーを含む複数の木材をまとめた総称です。主に北米大陸西海岸から輸入しており、以下のように分類します。

カナディアンSPFアメリカンSPF
ホワイトスプルース
エンゲルマンスプルース
ロッジポールパイン
アルパインファーなど
エンゲルマンスプルース
シトカスプルース
ロッジポールパイン

参考:一般財団法人 日本木材総合情報センター 木net (キーネット)

また、SPF材として販売されている木材は、以下に示す規格で統一されています。

【ワンバイ材】

規格サイズ(厚み×幅)mm
1×119×19
1×219×38
1×319×63
1×419×89
1×619×140
1×819×184
1×1019×235
1×1219×286

【ツーバイ材】

規格サイズ(厚み×幅)mm
2×238×38
2×338×63
2×438×89
2×638×140
2×838×184
2×1038×235
2×1238×286

SPF材の流通状況

SPF材は、国内でも広く流通している木材ですが「令和4年度 第2回 国産材の安定供給体制の構築に向けた中央需給情報連絡協議会」では、2022年において次のような状況だと報告されています。

昨年は底値から高値は、4倍近く値上がりしたということで、欧州材や国産材の代替供給につながりました。2022年のSPFの製材品の入荷量は、前年比約30%減少しましたけれども、2023年、今年の第1四半期についても日本側の需要はまだ減少しておりまして、製品在庫もまだ多い状況の中で、需要は回復し切っておりません。

引用:令和4年度 第2回 国産材の安定供給体制の構築に向けた中央需給情報連絡協議会

上記に色濃く影響しているのが、ロシアによるウクライナ侵攻です。世界的に木材の価格が高騰しているため、需要が減少していることが分かります。ただし近年では、欧州の製材品の価格が回復しているレポートがあると述べられており、今後の世界的な需要回復が期待されています。

SPF材を利用する魅力

SPF材は、企業だけでなく、一般人がDIYに活用できる木材として注目が集まっています。注目が集まる理由は、SPF材にある次の魅力が関係しています。

  • 入手しやすい
  • 加工しやすい
  • 研磨せずに利用できる

SPF材はホームセンターでも販売されており、安価に購入できる木材として有名です。また、前述したように、厚み、幅などが異なる製品が販売されているため、特段、複雑な加工を行わずともDIYに利用できます。

同じく、SPF材はあらかじめ研磨・面取りが行われたものが販売されていることから、すぐDIYにとりかかれるのがポイントです。その一方で、SPF材には次のような注意点があると理解しておきましょう。

  • 傷つきやすい
  • 虫の被害に遭いやすい

SPF材は比較的柔らかい素材であるため、傷つきやすく、シロアリなどが好む木材として有名です。魅力的なポイントが逆にデメリットになる場合もあるため、防虫処理加工といった、対策を行ったうえで利用することをおすすめします。

SPF材で大切な3つの選び方

SPF材を購入する際には、以下に示す3つの項目を理解したうえで製品を選びましょう。

  • 曲がり・反り
  • ひび・凹凸
  • 樹齢・樹液

無垢の木材ですので、製品によって見た目や特徴が異なります。より良い木材を選ぶ参考にしてみてください。

曲がり・反り

SPF材を選ぶ際には、曲がりや反りがないか確認しましょう。歪んだSPF材は、建築物やDIYの材料に向いていません。サイズミスや接合時のズレが生じてしまう恐れがあるため、水平な床に置いて、曲がりや反りがないか確認してから購入しましょう。

ひび・凹凸

SPF材は柔らかい素材なので、購入前にひびや凹凸がないか確認しましょう。ひび割れや凹凸は強度低下の原因となります。釘で固定する際に木材が割れてしまう恐れがあるので注意してください。また、凹凸が原因で塗装時の色ムラができる場合もあるので、事前に木材の状態をチェックしてから購入しましょう。

樹齢・樹液

SPF材の強度の良し悪しを確認するために「樹齢」「樹液」をチェックしましょう。SPF材を含む木材は、年輪幅が狭いほど高い強度を有します。なるべく年輪幅が狭いSPF材を選ぶといいでしょう。また、SPF材の一部が変色しているなど、樹液が出ているとカビや害虫被害の原因になります。作業時に樹液の処理を行う手間を削減するために、樹液で変色していないSPF材をおすすめします。

SPF材の価格相場

SPF材の価格相場は、およそ次のようになります。

【ワンバイ材】

規格3フィートの価格6フィートの価格
1×2300円程度350円程度
1×3350円程度450円程度
1×4300円程度250円程度
1×6400円程度800円程度

【ツーバイ材】

規格3フィートの価格6フィートの価格
2×2300円程度350円程度
2×4350円程度400円程度

価格はあくまで参考です。

また、DIYとしてSPF材を購入するのであれば、以下の2ポイントを押さえておきましょう。

  • ホームセンター・ECサイトで購入可能
  • 購入時にはカットサービスの利用がおすすめ

ホームセンター・ECサイトで購入可能

SPF材は、ホームセンターやECサイトを利用して簡単に購入できます。豊富な規格・サイズが販売されているので、複雑な加工を行わずにテーブルやイス、棚といったDIYに活用できるのが魅力です。また前述した価格相場表より、購入価格も安価であるため、一般家庭でも手軽に購入できます。

購入時にはカットサービスの利用がおすすめ

SPF材を購入する際、すでにDIYを行う設計図があるのなら、カットサービスを利用するのがおすすめです。カットしてほしいサイズを伝えることによって目的通りの材料が手に入ります。

ホームセンターはもちろん、ECサイトでも有料のカットサービスが利用できるので、ぜひ利用してみてください。

まとめ

建築物やDIYに利用される木材の中でも、安価な値段と加工のしやすさから、幅広い用途に利用されているのが「SPF材」です。

ホームセンターやECサイトで簡単に手に入ることはもちろん、初心者からテーブルやイス、棚といったインテリアのDIYにチャレンジできます。また、ツーバイフォー住宅など、建築用の構造材として頻繁に利用されているため、ぜひ自身の目的に合わせてSPF材を活用してみてください。

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