eTREEコラム

記事公開:2020.12.28

課題はあるのに、解決できない林業

浅野純平

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いつもお世話になっております。
森未来の浅野です。

先日、森林総合研究所主催の検討会で登壇し、パネルトークをさせていただきました。

令和2年度「知」の集積と活用の場 プロデューサー活動支援事業
第3回検討会 ~川中から川下におけるコスト削減と流通改革の取り組み~

私も時折このようなシンポジウムにゲストとして招待されることがありますが、毎回思うことがあります。
それは、林業の課題しか出てこず、解決策が示されないことです。

なぜ課題がでるだけなのか

総じて、べき論は活発に出てきます。

・林道をもっとつけて、搬出コストを下げ生産性をもっと上げるべきだ
・JAS認証を取得し、品質をもっと安定させるべきだ
・設計者がもっと木造建築を勉強して、自分で木拾いまでできるようになるべきだ

など。

しかし、これらの課題の解決には根本的な問題があるため、具体的な解決策まで踏み込むことができず、課題共有で終わってしまうことが殆どです。
私としては非常にもやもやした終わり方です。

私が考えるに、林業の課題は、サプライチェーン全てに課題があり、その課題と課題とが絡み合っていることだと思います。

どこか一つの課題を解決したとしても、他の課題が解消されないとサプライチェーンが詰まってしまうため、課題解決にならない。

例えば、建築関係の方と話していると良く出てくる、「建築家は木のことをもっと勉強しなくてはならない」という課題を解決したとします。
木の設計が多くなっていくことは非常に喜ばしい事です。しかし、その設計に対し、供給が追いついていなければ、絵にかいた餅に終わります。

・JAS認証工場の数が少ない、供給安定性が無い
・施工までの時間が短く、丸太が調達できない
・林業作業者が高齢化しているため、伐採量が追いつかない

などなど。
仮に需要側の課題を解決したとしても、供給側が応えることができません。
逆もまたしかり、正にニワトリ、タマゴ状態です。

課題を解決するためには

重要なのは、これらのうちどの課題に対し、どのような戦略をもって解決していくのかを示し、実行することだと思います。
私たちは、木材流通の改革を一丁目一番地と捉え、ヒト・モノ・カネ・情報の全リソースをつぎ込んで事業を進めております。
また、各所で連携することも重要です。
私たちは、林業の専門家ではないため、林業の生産性向上についての知見は持ち合わせておりません。しかし、そこに真摯に取り組まれている方は知っています。
また、林野庁の官僚でも、寝食を忘れ日々業務に取り組まれている方も知っております。
林業の課題について、直接話し合う機会は少ないですが、私は勝手に同士だと思って、一緒に課題解決に取り組んでいる感覚です。

「私たちは木材流通の課題を解決します。ほかの分野に関しては任せました!」

このような信頼関係を持ち、川上、川中、川下がスクラムを組みようやく課題解決に当たれるのではないでしょうか。

今、当社では新しい木材流通を実現するためのプラットフォームを構築しております。
このプラットフォームは、当社が創業後5年間で得た、川上、川中、川下の知見を集約したこれまでにないプラットフォームです。

詳細につきましては、次回のブログで触れられればと思います。
是非ともご期待くださいませ。

最後に

最後に、個人的な話になりますが、私はある本で林業の課題と出会い、そこから私の起業化人生が始まりました。
実際にやってみると、林業の課題は想像以上に複雑で、終わりが見えなくなってしまうときもあります。しかし、私は困難であればあるほど燃えてきます(笑)。そしてどれだけ時間がかかろうが、必ずや解決する覚悟で事業に取り組んでおります。
まだまだ私の実現したいことの、ほんの1割にも到達できておりませんが、温かい目で、時には厳しい目でご指導いただけますと幸いです。

年末も迫ってまいりました。
それでは、良いお年をお迎えください。

​​​浅野純平

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