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2022.12.14
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木材の調達・加工を相談する<本案件は、ウッドデザイン賞2022にて奨励賞(審査委員長賞)を受賞しました>
受賞に関する船場様のプレスリリースはこちら
本物件は、東京都が新しいコンセプトでオープンした次世代型シェアオフィスです。
そのため、多摩産材認証材が設計に指定されております。
今回は、コンセプトに合わせた多摩産材の調達から加工について相談をいただきました事例についてご紹介します。
東京都の公共事業は、多摩産材が指定で入ることが多く、これまで当社でも多くの物件を手掛けてきました。
しかし、本物件は次世代型オフィスということで、ただ単純に多摩産材を使えばいいというわけではなく、コンセプトやストーリーも伴って提案することが重要だと考えました。
設計者である船場さまからは、”エシカル”をテーマにした空間設計という基本コンセプトが決まっておりました。
そこで、「エシカルとは何か」というところからディスカッションし、ただ単純に間伐材や端材を使うだけではなく、製材業の課題となっている本当の意味での端材をアップサイクルすることを提案しました。
注目したのは製材する過程で必ず出るバーク(杉の皮)とバタ材(背板)です。
現状はチップにして燃料にしているのですが、日々大量に生産されるため、建材として利用することができると製材所の収益増にも繋がります。
そこでデザイナーからあがってきた案が、輪切りにスライスし半月上にしたバタ材を仕上げ材として使用する案でした。
正直、想像の斜め上を行く提案で、これなら新たな活用方法が見つかるのではないかと期待が膨らみました。
その後試行錯誤を経て、出来上がったのがメインテーブルの装飾です。
互い違いに並べた半月型のバタ材が波模様を描き出し、ユニークな表情を浮かべます。バタ材は側面だけではなく、上面にも配置しています。
使用したバタ材(背板)の総数は約1万個。ひとつずつカットし、乾燥していなかったので、天日干しをしました。
また、メインテーブルだけでなく、ランプシェードにもバタ材を使用しました。
バタ材の半月型を活かしたランプシェードは存在感があります。木材の表面では光が乱反射するため、明かりをやわらかくする効果があります。
その他、棚用の造作材も多摩産材を使用しました。
製材所に余計な負担をかけないよう、通常使っている45×45と90角を使うよう提案しました。90角は現しで使うため、芯去りの背割れ無しにしております。
見た目も美しく仕上がったかと思います。
物件:TOKYOシェアオフィス墨田
設計・施工:株式会社船場
素材の選定、流通していない材の調達、加工についても初めての経験。とても困難な事が多かったですが、設計者や施工の方も最後まであきらめることなく根気強く取り組み、実現に至りました。
TSO墨田を通し、多摩産材、及び日本の林業の現状についてお伝えできればと考えております。
eTREEでは、多摩産材を始めとした地域材のご提案や、ストーリー、コンセプト立案からお手伝いすることも可能です。
お気軽にご相談ください。
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