CoC認証 岩手県
株式会社岩泉フォレストマーケティング(×岩泉町)
本州でいちばん広い町の「広葉樹」林業
岩手県岩泉町は、本州で最も広い町として知られています。町内の森林面積も9万haを超えるほど広大で、森林率は93%という高い数字を誇ります。2003年にFSC森林認証(FM認証)を取得しました。日本の林業の主体はスギ・ヒノキといった針葉樹ですが、ここでは「広葉樹」をキーワードとした林業も行われています。森の多様性を活かし、これまで岩泉の林業の柱となっていたアカマツ・カラマツ・スギに加え、ミズナラ・クリをはじめ多種多様な広葉樹を取り扱っています。
課題を乗り越えて見出した方向性
FSC認証の取得は日本の中で見ると比較的早い時期でしたが、当時の認証林の規模は広大な森林面積のわずか10%。当初思い描いていた価格的な付加価値は全くない、という状況が10年も続いていました。しかし、FSC認証取得は町の施策として取り組んできたものであり、これを通して繋がった縁も多かったのです。そこで、取得したFSCを改めて価値ある物へと変えていこうという方向で取り組みを始めました。目を付けたのは、地域の材の特徴です。岩泉町の人工林の割合は3割。低い数字ですが、これを「豊かな天然林の資源がある町」と前向きに捉えなおし、針葉樹ではなく「広葉樹」をキーワードとして掲げることにしました。
多様な森林資源のフル活用に向けて
方向性を固めた後は、森林資源に関する情報共有や新会社の設立により、川上・川中・川下の連携を強めてきました。設立した会社の名前は、株式会社岩泉フォレストマーケティング。地域の事業者が苦手とする営業機能と商社機能をカバーできる「地域商社」です。地元の木材を使った製品としてスモークチップや一輪挿しなどの製作も行っていますが、提供するのは「あなただけの体験」。樹種や木の形だけでなく、加工の仕方もそれぞれ異なるため、ひとつとして同じ製品はありません。受け取り手が五感を使って味わった時に感じる思いもそれぞれ。ひとつしかない製品が、あなただけの体験を運んでくれるようにという願いを込めています。
描く未来を実現するため、今動く
広葉樹を林業のキーワードとして動き始めた今の山には、まだ材としては使えないような細い木しかないかもしれません。しかし、材として使える広葉樹のある森林を夢見るならば、今から動き始めなければいつまでも未来の話のままになってしまう…この思いに突き動かされるように、歩みを進めています。「生産」「販売」「流通」、これらの主体性を取り戻すことが、「林業」「地域」の振興につながるだろう。そんな希望を胸に、広葉樹を地域の財産として位置づけ、新たなマーケットの構築をしていくことを目指しています。