FM認証 山梨県

山梨県

歴史を乗り越えて生まれた森林経営

明治時代、山梨県内の森林は燃料用に過剰に伐採され、一部では盗伐も横行し、植林も進まずにひどく疲弊していました。明治末期には森林の荒廃から山崩れや水害が発生して県民の生活を大変苦しめていたところ、その惨状を知った明治天皇が山梨県下の御料地を復興に役立てるように御下賜されました。山梨県有林はこの「恩賜林」がもととなり、「木材生産」だけでなく「森林保全」も考えた二本柱による森林経営が進められてきました。

木材に「環境」というブランドを

大正~平成と県有林は大切に守り育てられてきましたが、木材利用の面で全国の銘木にも引けを取らない木材としてブランド化していこうとする声が出始めます。2000年代に突入し、「環境」というキーワードが叫ばれるようになり、「環境首都山梨」としての展開をしていく中、FSC認証と出会います。広大な県有林には関係する部署が多く、取得の意思決定に難航したものの、議会や関係各所に丁寧な説明を進めていき、最終的に知事からもGOサインが出ました。大規模な森林を認証した事例がない中、手探り状態で準備を進めて認証を取得。現在では4つの事務所と47社の業者がかかわる大所帯で管理に当たっています。

さらなるチェーンの拡大を目指して

山梨県では認証を前面に出して、FSC/CoC認証のチェーンをつなぐ取り組みにも力を入れています。FSC認証はFM認証(森林管理)とCoC認証(製造・流通)とのチェーンをつないでこそ県有林材のブランド化が確立されていくと考え、FSC/CoC認証取得者に優先して材を供給しています。また、認証材製品づくりに意欲的に取り組む事業者を支援する体制を整え、FSC認証材製品として登録した製品を各種展示会で紹介することも行っています。中には各種の賞を受賞した製品もあり、山梨県発のFSC製品の普及に大きな役割を果たしています。

FSC認証に取り組む「県」として

現在では年間約8万m3のFSC認証材を出荷しており、大手コンビニエンスストアの店舗材等に使われています。県有林(恩賜林)をしっかり管理してきて取得したFSC認証が、東京オリンピック会場をはじめ、木造建築が増え、さらにSDGsなど環境に配慮した考え方が広まっていく中、多くの事業に結びつきました。今後も民有林に追随してもらえるように、県有林=模範林という考えで最前線に立って取り組んで行きます。

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